「圧力鍋を買ったけれど、角煮の加圧時間が何分なのか分からない」「下茹では必要なのか、調味料はいつ入れるのか」——豚の角煮は、普通鍋だと下茹でに45分〜1時間、調味後にも20〜30分がかかり、合計で1時間半前後を見込む料理です。一方、圧力鍋は約110〜130℃の高温で加熱できるため、加圧時間は合計20分前後が相場になります。
本記事では、農水省(農林水産省)の基本と、アサヒ軽金属・ワンダーシェフなど各メーカーの公式レシピ、圧力なべ協議会の温度データをもとに、加圧時間の数え方から減圧後の煮詰め方までを整理しました。精肉の現場目線で、失敗しない手順をお伝えします。
豚の角煮を圧力鍋で作る理由
「圧力鍋を買ったけれど、豚の角煮の加圧時間は何分なのだろう」「下茹では必要なのか、調味料はいつ入れるのか」——そんな疑問を持ってこの記事にたどり着いた方も多いのではないでしょうか。豚の角煮は、普通鍋で作るとどうしても1時間以上かかるイメージがあります。仕事から帰ってきて「今日は角煮を作ろう」と思ったとき、その時間はなかなか確保できないものです。
そこで活躍するのが圧力鍋です。メーカー公式のレシピと圧力の科学をもとに、加圧時間の相場と失敗しない手順を整理しました。「加圧20分でトロトロ」の根拠と、味を決める減圧後のひと手間まで、具体的にお伝えしていきます。

普通鍋との時間比較
まず、普通鍋と圧力鍋では、調理時間にどれほどの差があるのかを見てみましょう。農水省(農林水産省)の資料によると、普通鍋で豚の角煮を作る場合、下茹でに45分〜1時間、調味後にも20〜30分かかるとされています。つまり、普通鍋だけで考えると、調理開始から食べられるまでに1時間半前後を見込む必要があります。
一方、圧力鍋を使う場合の調理時間の目安は、アサヒ軽金属の公式レシピで約40分です。内訳は「水と酒だけで高圧20分加圧(下茹でを兼ねる)→自然減圧後にカット→調味液を加えて弱火で煮詰める」という流れで、加圧時間そのものは20分です。
| 調理方法 | 下茹で | 調味・煮込み | 合計の目安 |
|---|---|---|---|
| 普通鍋(農水省の基本) | 45分〜1時間 | 20〜30分 | 約1時間15分〜1時間30分 |
| 圧力鍋(アサヒ軽金属の例) | 高圧20分(下茹で兼用) | 減圧後、弱火で煮詰め | 約40分 |
| 圧力鍋(ワンダーシェフの例) | 高圧10分 | 調味液で高圧10分+煮詰め | 約50分〜1時間 |
このように、圧力鍋を使えば時短になるのは確かです。ただし、注意したいのは「加圧時間=総調理時間ではない」という点です。圧力がかかるまでの昇圧時間や、火を止めてからの自然減圧の時間も含めて、全体の調理時間を考えましょう。
圧力鍋の高温調理のしくみ
なぜ圧力鍋だと短時間で肉が柔らかくなるのでしょうか。その秘密は、調理温度の違いにあります。圧力なべ協議会によると、家庭用圧力鍋の調理温度は約110〜130℃です。一方、普通鍋で加熱した場合、水の沸点である約100℃以上には基本的に上がりません。
この「約10〜30℃の差」が、調理時間の大きな差を生みます。豚の角煮の主役であるコラーゲンは、加熱によってゼラチン化して柔らかくなりますが、この変化は温度が高いほど速く進みます。圧力鍋の中は約110〜130℃の高温になるため、普通鍋より短い時間でコラーゲンのゼラチン化を達成できるのです。
具体的な数値で見ると、圧力なべ協議会の資料では、98kPaで約120℃、アサヒ軽金属の146kPaで約128℃、ワンダーシェフの高圧80kPaで約117℃、超高圧140kPaで約126℃とされています。東芝の1.8気圧機でも約117℃です。
「加圧20分」の根拠は、この高温調理にあります。約110〜130℃の高温で加熱すれば、コラーゲンのゼラチン化が効率的に進み、20分程度の加圧で十分に柔らかくなるというわけです。もちろん、肉の量や鍋の機種によって最適な時間は変わりますが、「20分」は多くのメーカーが採用する標準的な加圧時間の目安といえます。
豚の角煮の主役はコラーゲンのゼラチン化です。圧力鍋で短時間で仕上がるのは、次の3つがそろうからです。
- 約110〜130℃の高温調理(普通鍋の約100℃より10〜30℃高い)
- 高温でゼラチン化が高速に進む(温度が高いほど軟化が速い)
- 残りの加熱は自然減圧が担当(減圧中も鍋内は100℃超のまま)
豚の角煮の加圧時間
豚の角煮を圧力鍋で作るとき、最も迷うのが「加圧時間」ではないでしょうか。ここでは、各メーカーの公式レシピを比較しながら、加圧時間の相場を確認していきます。また、加圧時間の正しい数え方も解説します。
メーカー公式の加圧時間一覧表
各メーカー・各社が公開している公式レシピの加圧時間をまとめました。肉の量や鍋の種類が異なるため単純比較はできませんが、相場を掴む参考になります。
| メーカー・出典 | 肉の量 | 加圧時間 | 総調理時間の目安 |
|---|---|---|---|
| アサヒ軽金属 | 豚バラ600g | 高圧20分(下茹で兼用) | 約40分 |
| ワンダーシェフ | 豚バラ600g(4cm角) | 1回目10分+2回目10分 | 約50分〜1時間 |
| ティファール | 豚バラ400g | 1回目20分+2回目10分 | 計55分 |
| ビタクラフト | 豚バラ600g | 1回目20分+2回目8分 | — |
| ハウス食品 | 豚バラ500〜600g | 高圧15分 | 約50分 |
| 象印(電気圧力鍋) | — | 100℃15分の無加圧下茹で→自動メニュー | 計約2時間20分 |
| 東芝(電気圧力鍋) | — | 1.8気圧で15分 | 約40分 |
| パナソニック(電気圧力鍋) | — | 自動「角煮」20分(設定は15〜30分) | 総調理時間は約1時間30分 |
この表を見ると、ガス圧力鍋の加圧時間は「15〜20分」が中心であることが分かります。1回で仕上げるタイプなら15〜20分、2回に分けるタイプなら1回目10分+2回目10分の合計20分です。つまり、豚の角煮の加圧時間の相場は「合計20分前後」といえます。
一方、電気圧力鍋は機種によって加圧時間と総時間が大きく異なります。象印のように無加圧の下茹で工程を含めて約2時間20分かかるものもあれば、東芝のように約40分で仕上げるものもあります。電気圧力鍋の詳細については、後ほど解説します。
「おもりが動き出してから」の数え方
加圧時間の数え方で、初心者が間違いやすいポイントがあります。それは「点火してからの時間」と「おもりが動き出してからの時間」を取り違えることです。
ワンダーシェフの公式レシピでは、加圧時間は「おもりが動き出してから火を止めるまで」で数えると定義されています。圧力鍋は、火をつけてから鍋内の圧力が上がり、おもりが動き出すまでに数分かかります。この「昇圧時間」は加圧時間には含めません。
たとえば「高圧20分」のレシピであれば、以下のような流れになります。
この「おもりが動き出してから」を意識しないと、実際よりも長く加熱してしまい、煮崩れや焦げ付きの原因になります。圧力鍋を使うときは、「おもりが動き出したら加圧スタート」を習慣づけましょう。
- 水分量はレシピどおり確保できているか(焦げ付きの主因は水分不足)
- おもりの動きを確認できる位置に立てるか(動き出してから時間を数える)
- ふたのロックと蒸気口のつまりがないか(安全の基本確認)
圧力鍋の豚の角煮レシピ
ここからは、実際のレシピを紹介します。基本となるのは、アサヒ軽金属の公式レシピをベースにしたものです。このレシピの特徴は、下茹でと加圧を同時に行う点にあります。「水と酒」だけで加圧し、減圧後にカットして調味液で煮詰めるという2段階の流れです。
材料と分量
4人分の材料は以下のとおりです。分量はアサヒ軽金属の公式レシピをベースにしています。
| 材料 | 分量 |
|---|---|
| 豚バラブロック | 600g |
| 水(下茹で用) | 400cc |
| 酒(下茹で用) | 100cc |
| 砂糖 | 大さじ1.5 |
| みりん | 大さじ1 |
| 醤油 | 大さじ2 |
| 酒(調味液用) | 100cc |
| 水(調味液用) | 100cc |
このレシピでは、豚バラブロックを600g使用します。下茹で用の「水400cc+酒100cc」で高圧20分加圧し、これが下茹でを兼ねます。減圧後に4〜5cm角にカットし、調味液を加えて煮詰めていくという流れです。
作り方の手順
作り方の手順を、段階に分けて解説します。
このレシピのポイントは、調味液を加えた後に再加圧しないことです。ふたを開けたまま弱火で煮詰めることで、調味液が煮詰まって肉に絡み、照りよく仕上がります。調理時間の目安は約40分です。
なお、圧力鍋で加圧した肉は非常に柔らかい状態になっているため、カットするときは包丁で優しく扱ってください。熱いうちに切ると崩れやすいので、少し冷ましてから切ると形がきれいに保てます。

肉屋の目線でひとこと。圧力鍋は「柔らかさをつくる」のが仕事で、「味を決める」のは減圧後の煮汁の扱い方です。せっかく加圧して柔らかくしても、ゆで汁の脂を取らずに調味すると、せっかくの味が濁ってしまいます。加圧が終わったら、ゆで汁を一度冷まして表面の脂を取る。このひと手間だけで、仕上がりはお店の角煮にぐっと近づきますよ。
豚の角煮の圧力鍋での下茹でと調味のタイミング
圧力鍋で豚の角煮を作るとき、最初に悩むのが「下茹では必要なのか」「調味料はいつ入れるのか」という点ではないでしょうか。ここでは、圧力鍋の「役割分担」という考え方で整理します。
下茹で(加圧)の役割
圧力鍋での下茹でには、主に3つの役割があります。
- 肉を柔らかくする(コラーゲンのゼラチン化)
- 臭みを抜く(アクや余分な脂をゆで汁に出す)
- 余分な脂を事前に落とす(さっぱりと仕上げる)
特に重要なのが「臭み抜き」です。豚バラ肉には独特のにおいがありますが、水と酒だけで加圧することで、その臭みの成分がゆで汁に移ります。このゆで汁を捨てることで、臭みのないクリーンな状態で調味の工程に進めます。
「下茹でを省略したい」という場合は、焼き工程で代替する方法もあります。肉の表面をフライパンで焼きつけてから圧力鍋に入れると、焼き目に香ばしさが加わり、臭みも抑えられます。ただし、この場合は脂の量が多めに残るため、仕上がりがややこってりとします。下茹でを兼ねた加圧工程は、さっぱりとした角煮に仕上げるための大切なステップです。
調味料は加圧後に
調味料をいつ入れるかについては、「加圧前に入れる派」と「加圧後に入れる派」に分かれます。基本のレシピでは、調味料は加圧後(減圧後)に入れる方法をとります。
その理由は、焦げ付きの防止にあります。圧力鍋は内部の水分が蒸発しにくい構造ですが、調味料に含まれる糖分(砂糖・みりん)は加熱されると焦げやすくなります。調味料を加圧前に投入すると、鍋底で焦げ付くリスクが高まります。特に砂糖を含む調味液は、高温の加圧中に焦げ付きやすいのです。
一方で、「最初から調味料を入れる別解」もあります。東芝の電気圧力鍋の公式レシピでは、内鍋で肉を炒めてから調味料を加圧前に投入し、1.8気圧で15分加圧する方法を採用しています。この場合、調味料の水分量が十分に確保されていることが前提です。調味料を加圧前に入れる場合は、焦げ付きを防ぐために水分量を多めに設定する必要があります。
「調味料は加圧後に入れる」のが基本形で、「最初から入れる」場合は水分量の確保が条件、と覚えておきましょう。
角煮の自然減圧と脂の処理
加圧が終わって火を止めた後、「自然減圧」の時間があります。この時間を「ただ待つだけの時間」と思っていませんか。実は、自然減圧中も調理は進んでいます。ここでは、自然減圧の意味と、仕上がりを左右する脂の処理について解説します。
自然減圧中も加熱は続く
圧力鍋の減圧方法には「自然減圧」と「強制減圧」があります。角煮のように肉を柔らかく仕上げたい料理では、自然減圧が基本です。
ティファールの公式情報によると、自然減圧中も鍋の中は100℃を超えたままです。火を止めても、鍋内の圧力が下がるまでは高温の状態が続きます。つまり、加圧が終わった時点から減圧が完了するまで、肉はじわじわと加熱され続けているのです。
この「隠れた調理時間」を意識すると、加圧時間を短めに設定する理由が見えてきます。「20分加圧したら、その後の自然減圧でも加熱が続く」と考えれば、加圧しすぎによる煮崩れを防げます。自然減圧にかかる時間は機種によって異なりますが、電気圧力鍋では減圧に約30分かかる機種が多いとされています。
自然減圧が完了する目安は、おもりが下がり、ふたのロックが解除されることです。この間、ふたを開けようと力を入れるのは大変危険です。圧力が残ったままふたを開けると、熱い蒸気や内容物が噴き出す恐れがあります。自然減圧の間は、絶対にふたを開けようとしないでください。
ゆで汁を冷ますと脂が固まる
下茹で(加圧)が終わり、ふたを開けた後は、ゆで汁に浮いた脂の処理が次のポイントです。豚バラ肉からはかなりの量の脂が溶け出します。この脂をそのままにしておくと、仕上がりが脂っこくなってしまいます。
ゆで汁を一度ボウルなどに移して冷ますと、表面にラード(豚脂)が白く固まります。これをスプーンなどで取り除くと、余分な脂を効率的に除去できます。冬場であれば常温でも固まりますが、夏場は冷蔵庫で冷やすと確実です。
時間がない場合は、ゆで汁をざるで濾しながら取り除く方法もありますが、完全に脂を除くのは難しいものです。手間をかけられるなら、冷まして脂を固めてから取り除く方法がおすすめです。このひと手間で、さっぱりとした上品な味わいの角煮に仕上がります。
角煮の2回加圧レシピ
基本のレシピは「1回の加圧+煮詰め」でしたが、より本格的な味わいを求めるなら「2回加圧」の方法もあります。ここでは、ワンダーシェフの公式レシピを紹介します。ゆで卵入りの角煮を作りたい方にもおすすめです。
1回目(下茹で)と2回目(調味)の手順
ワンダーシェフの公式レシピでは、豚バラ600gを4cm角に切り、以下の手順で調理します。
このレシピのポイントは、1回目で「柔らかさ」を作り、2回目で「味」をつけるという役割分担です。1回目は水だけで加圧して肉を柔らかくし、2回目は調味液の中で加圧して味を含ませます。
加圧時間は「おもりが動き出してから火を止めるまで」で数えます。ワンダーシェフの定義に従い、しっかりと数えましょう。通常の高圧(80kPa)なら各10分、超高圧(140kPa)なら各4分です。
ゆで卵を一緒に加圧するときの注意
ゆで卵を角煮と一緒に加圧する場合、いくつか注意点があります。
- ゆで卵はあらかじめ茹でて殻をむいておく(生卵を入れると破裂する恐れがあります)
- 卵は加圧しすぎると固くなりすぎるため、2回目の加圧のときに入れる
- 煮詰める工程で卵に味が染みるため、加圧後もしばらく煮汁に浸けておくとよい
ゆで卵を一緒に加圧すると、卵白が縮んで固くなることがあります。これを防ぐには、卵を加えるタイミングをずらす方法もあります。たとえば、2回目の加圧が終わってから卵を加え、余熱で味を含ませる方法です。ただし、この場合は卵に味が染みるまでに時間がかかります。
ワンダーシェフの公式レシピでは、ゆで卵4個を2回目の加圧時に一緒に入れます。加圧時間が10分(超高圧なら4分)と短いため、卵が固くなりすぎる心配は少ないようです。煮汁が半量になるまで煮詰める工程でも、卵に味がしっかりと染み込みます。
豚の角煮を圧力鍋で作るときの失敗と対策
圧力鍋で角煮を作るとき、誰もが一度は経験する失敗があります。ここでは、よくある失敗とその対策を診断表にまとめました。失敗したときの原因を特定し、次回に活かしましょう。
失敗の原因と対策の診断表
| 失敗の症状 | 考えられる原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 焦げ付く | 水分不足・調味料を加圧前に入れた・火が強すぎる | 水分量を増やす・調味料は加圧後に入れる・加圧中は弱火に |
| 煮崩れする | 加圧しすぎ・加圧時間が長すぎる・減圧後に強くかき混ぜた | 加圧時間を短縮する・自然減圧後は優しく扱う |
| 肉が硬い | 加圧時間が短い・肉の量に対して水分が少ない・高圧になっていない | 加圧時間を延ばす・水分量を確認する・おもりの動きを確認する |
| 臭みが残る | 下茹でを省略した・酒や香味野菜を使っていない | 水+酒で下茹でする・ねぎやしょうがを加える |
| 味が薄い | 煮詰めが足りない・調味液の量に対して肉が多い | 煮汁が半量になるまで煮詰める・調味液の分量を調整する |
この表で特に多いのが「焦げ付き」です。焦げ付きの主因は水分不足です。圧力鍋は内部の水分が蒸発しにくい構造ですが、加圧時間が長くなると水分が減り、焦げ付きやすくなります。焦げ付きを防ぐには、水分量を十分に確保することが第一です。
加圧しすぎの見分け
加圧しすぎてしまった場合、どのようなサインが現れるのでしょうか。主な見分け方を紹介します。
- ふたを開けたとき、肉がほろほろと崩れて形を保っていない
- 煮汁が少なくなっていて、鍋底に焦げ付きがある
- 肉の繊維が完全にほぐれて、食感がなくなっている
ビタクラフトやパナソニックのFAQでも、加圧時間の設定には注意が必要とされています。特に電気圧力鍋の場合、設定時間と実際の総調理時間に差があることに注意しましょう。パナソニックのFAQによると、電気圧力鍋の総調理時間は「設定時間+20〜100分程度」です。これは、昇圧と減圧に時間がかかるためです。
「加圧しすぎたかも」と思ったら、次回は加圧時間を5分短くしてみましょう。また、肉の量を減らす、カットする大きさを大きくするなどの調整も効果的です。圧力鍋は「正しい時間」を知ることが、失敗しないための近道です。
- 調味料を加圧前に入れる(砂糖・みりんが高温で焦げやすい)
- 水分量が少なすぎる(加圧時間が長いほど水分は減る)
- おもりが動く前から時間を数える(実際より長く加熱してしまう)
角煮の圧力鍋選び
圧力鍋には「ガス圧力鍋」と「電気圧力鍋」の2種類があります。どちらも「圧力鍋」ですが、圧力の強さや調理時間の考え方が異なります。ここでは、豚の角煮を作る視点から、両者の違いを整理します。
圧力と時間の違い
まず、圧力の強さの違いを見てみましょう。
| 項目 | ガス圧力鍋 | 電気圧力鍋 |
|---|---|---|
| 圧力の目安 | 高圧80〜146kPa | 70〜90kPa級 |
| 調理温度の目安 | 約117〜128℃ | 約110〜120℃ |
| 昇圧時間 | 短い(数分) | 長い(10分以上かかることも) |
| 減圧時間 | 比較的短い | 約30分かかる機種が多い |
| 加圧中の火加減 | 自分で調整する | 自動で調整される |
ワンダーシェフの例で見ると、高圧80kPaで約117℃、超高圧140kPaで約126℃です。アサヒ軽金属は146kPaで約128℃です。一方、電気圧力鍋は70〜90kPa級が多く、調理温度は約110〜120℃程度です。ガス圧力鍋のほうが高温で調理できるため、加圧時間が短くて済みます。
また、電気圧力鍋は昇圧と減圧に時間がかかるため、同じ「20分の加圧」でも総調理時間に差が出ます。パナソニックの例では、自動「角煮」メニューの設定は20分(設定は15〜30分)ですが、総調理時間は約1時間30分です。これは昇圧と減圧に約1時間かかるためです。
設定時間と総時間の違い
電気圧力鍋を使うときに注意したいのが、「設定時間」と「総時間」の違いです。パナソニックのFAQによると、電気圧力鍋の総調理時間は「設定時間+20〜100分程度」です。これは、以下の時間が加わるためです。
- 昇圧時間(鍋内の圧力が設定値に達するまでの時間)
- 調理時間(設定した加圧時間)
- 減圧時間(圧力が下がるまでの時間)
「20分の設定だから20分でできる」と思っていると、実際には1時間以上かかることもあります。電気圧力鍋を使うときは、この「設定時間≠総時間」を理解しておきましょう。
電気圧力鍋とガス圧力鍋のどちらを選ぶかは、ライフスタイルによって異なります。火加減の調整が不要で「ほったらかし調理」がしたい方は電気圧力鍋、短時間で高温調理したい方はガス圧力鍋が向いています。電気圧力鍋のタイプ別の詳細や選び方については、角煮の圧力鍋レシピの記事で詳しく解説しています。
- 高圧80〜146kPa・約117〜128℃で一気に仕上げる
- 加圧時間は合計20分前後・総時間も約40〜55分
- 火加減を見ながら作りたい方に向いています
- 70〜90kPa級・設定時間と総時間に差がある(+20〜100分)
- 自動メニューで失敗しにくい(象印・パナソニックなど)
- 火加減の調整なしで調理したい方に向いています
豚の角煮の保存とリメイク
圧力鍋で作った角煮は、作り置きにも適しています。ここでは、保存の目安と、余った角煮のリメイク方法を紹介します。
冷蔵2〜3日・冷凍2〜3週間の目安
豚の角煮の保存期間は、一般的な目安として冷蔵で2〜3日、冷凍で2〜3週間(1か月程度まで)とされています。保存の方法については農水省の指針に沿って、小分けにして冷ましてから保存し、再加熱は中心部までしっかり行うのが基本です。
| 保存方法 | 目安の期間 | ポイント |
|---|---|---|
| 冷蔵保存 | 2〜3日 | 煮汁ごと容器に入れ、完全に冷ましてから保存する |
| 冷凍保存 | 2〜3週間(1か月程度まで) | 小分けにして冷まし、煮汁ごと冷凍する |
| 再加熱 | — | 中心部までしっかり加熱する(75℃1分以上が目安) |
保存のポイントは、小分けにして冷ましてから保存することです。大きな塊のまま冷蔵すると、中心部まで冷えるのに時間がかかり、細菌が繁殖しやすくなります。食べる分ずつ小分けにして、素早く冷ましましょう。
再加熱するときは、中心部までしっかりと加熱してください。農水省・厚生労働省の指針では、中心部を75℃で1分以上(70℃3分なども同等条件)加熱することが推奨されています。電子レンジで再加熱する場合は、途中で一度かき混ぜるか、加熱時間を長めに設定して中心部まで火を通しましょう。
リメイク
角煮を作りすぎたときは、リメイクも楽しめます。代表的なリメイク方法を紹介します。
- 角煮丼:温かいご飯の上に角煮をのせ、煮汁をかける。刻みネギや紅しょうがを添えると彩りがよくなります
- 角煮うどん:うどんの出汁に煮汁を少量加え、角煮をのせます
- 角煮チャーハン:角煮を細かく刻んでチャーハンの具材にします
- 煮汁の活用:ゆで卵を煮汁に漬け込むと、味玉子が作れます
角煮の基本レシピ・配合や部位の選び方については、豚の角煮レシピの記事で詳しく解説しています。そちらもあわせてご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 圧力鍋の加圧時間は何分ですか?
A. 豚の角煮の加圧時間は、合計20分前後が相場です。アサヒ軽金属の公式レシピでは高圧20分の1回加圧、ワンダーシェフの公式レシピでは高圧10分を2回(合計20分)という構成です。時間は「おもりが動き出してから火を止めるまで」で数えてください。
Q2. 圧力鍋でも下茹では必要ですか?
A. 基本は必要です。水と酒だけで加圧する工程が、臭みを抜いて余分な脂を落とす下茹でを兼ねています。下茹でを省略したい場合は、肉の表面をフライパンで焼きつけてから加圧する方法で代替できます(臭みは抑えられますが、脂は多めに残ります)。
Q3. 調味料はいつ入れるのがいいですか?
A. 基本は加圧後(減圧後)に入れます。砂糖やみりんを含む調味液を加圧前に投入すると、鍋底で焦げ付くリスクが高まります。最初から調味料を入れるレシピ(東芝やパナソニックの公式レシピなど)もありますが、その場合は水分量を十分に確保することが条件です。
Q4. ガス式と電気式はどちらがいいですか?
A. 高温で一気に短時間調理したい方はガス式、火加減の調整なしでほったらかし調理したい方は電気式が向いています。電気式は設定時間とは別に昇圧・減圧の時間がかかるため、総調理時間が長くなる点を考慮してください。タイプ別の詳細は角煮の圧力鍋レシピの記事で解説しています。
Q5. 焦げ付いてしまうのはなぜですか?
A. 焦げ付きの主因は水分不足です。調味料を加圧前に入れた、加圧時間が長すぎた、おもりが動き出す前から時間を数えた、といったケースが考えられます。次回は加圧時間を5分短くし、水分量を確認してから作りましょう。
Q6. 普通鍋で作る場合とどう違いますか?
A. 時間の差が最も大きい違いです。普通鍋は下茹で45分〜1時間に調味後20〜30分で合計1時間半前後かかりますが、圧力鍋なら約40〜55分で仕上がります。味付けの基本や部位の選び方は共通なので、豚の角煮レシピの記事を参考にしてください。
まとめ
圧力鍋で作る豚の角煮は、「加圧で柔らかさをつくり、減圧後の煮詰めで味を決める」という役割分担がコツです。チェックリストにまとめました。
圧力鍋角煮のチェックリスト
- 加圧20分が相場:おもりが動き出してから数える。硬ければ5分ずつ追加
- 自然減圧を待つ:減圧中も加熱が続く。ふたはロックが外れるまで開けない
- 調味は減圧後:調味液は加圧後に。焦げ付きの多くは水分不足が原因
圧力鍋は「時短の道具」であると同時に「高温の道具」です。約110〜130℃の高温を活かせば、普通鍋にはない短時間でトロトロの角煮が作れます。最初は基本のレシピで、お使いの鍋との相性を確かめてみてください。
関連記事の案内
豚の角煮を圧力鍋で作る方法に関連する記事を紹介します。
今あるものを、そのままお届けする準備をしています。Coming Soon詳しく見る →

コメント