「もつ煮ともつ鍋を作ると、どうしても臭みが残る」「下処理って塩もみ?下茹で?」「牛乳や小麦粉は本当に効くの?」── もつの下処理を前に、こんな悩みを持つ方は少なくありません。
もつの臭みは、「血・脂・雑菌(汚れ)」という3つの原因に、塩もみ・小麦粉・下茹でという3つのテクニックで対応すると、しっかり取り除けます。原因と手順を知れば、家庭のもつ料理が格段に美味しくなります。
本記事では、厚生労働省など公的機関の情報も踏まえ、もつの臭みの原因から、臭みを取る3つのテクニック、安全な加熱までを精肉のプロの視点で解説します。もつの種類はもつの種類一覧もご覧ください。

もつの臭みの3大原因
下処理を効かせるには、まず臭みの正体を知ることが近道です。原因を狙い撃ちにすれば、無駄なく臭みを落とせます。
血・脂・雑菌という3つの正体
もつの臭みは主に「血」「余分な脂」「雑菌(消化物の汚れ)」の3つから生じます。もつは内臓のため、と畜・解体の過程で腸内の細菌や汚れが付着しやすく、これが放置されると臭みのもとになります。厚生労働省も、家畜の腸内には食中毒菌が存在し、解体時に肉や内臓へ付着し得ると注意を促しています。臭み取りと衛生的な処理は表裏一体だと考えると、下処理の意味が腑に落ちます。
原因を落とせば臭みは減る
逆に言えば、この3つ(血・脂・雑菌)を狙って落とせば、臭みは大幅に軽減できます。市販のもつが臭いのは「鮮度が悪いから」だけではなく、付着した脂や汚れがそのまま残っているケースが多いのです。だからこそ、あとで紹介する塩もみ・小麦粉・下茹での3ステップが効きます。それぞれが「血・脂・ぬめり」「細かな汚れ」「アク・残った臭み」と、異なる原因に対応しているのがポイントです。逆に、どれか一つだけでは取り切れないため、3つを組み合わせるのが確実です。
もつの下処理の全体像
個々のテクニックに入る前に、下処理全体の流れとゴールをつかんでおきましょう。
下処理の4ステップ
下処理の流れは、「洗って血を抜く → 塩や粉で汚れを吸着 → 下茹でで脂・アク・臭みを除く → 十分に加熱する」という段階で組み立てます。前半3ステップが臭み取り、最後の加熱が安全性の確保にあたり、この一連をワンセットで行うことで、臭みがなく安心して食べられるもつになります。慣れれば15〜20分ほどの作業です。
生もつと白もつで工程が変わる
市販のもつには、生の状態のものと、あらかじめボイル済みの「白もつ」があり、生もつはフルの工程、白もつは簡略化した工程で処理します(詳細は後述)。どちらを買ったかで手間が変わるため、パッケージの表示を確認してから下処理を始めると効率的です。次章から3つのテクニックを順に見ていきます。
もつの臭みを取る3つのテクニック
テク1・塩もみ洗いで脂とぬめりを除去
最初のステップは塩もみです。もつ100gあたり塩小さじ3分の1〜2分の1を目安にふり、3分ほど揉んで流水で2〜3回すすぎます。塩には余分な脂やぬめり、残った血を吸着して落とす働きがあります。水が澄んでくるまで洗うのがポイントです。塩と一緒に酢や少量の小麦粉を加えて揉むと、ぬめりがさらに落ちやすくなります。しっかり揉んだあとは、ぬるま湯ではなく冷たい流水で洗うと、脂が固まって落としやすくなります。
テク2・小麦粉での汚れ吸着
次に、小麦粉(または片栗粉)をまぶして揉み込み、流水で洗い流します。小麦粉自体が臭みを消すわけではなく、粉が細かな汚れや臭み成分を吸着し、まとめて洗い流す担体として働きます。牛乳に30分〜1時間ほど漬ける方法も匂いの吸着に有効ですが、香りが残ることもあるため、すっきり仕上げたい場合は次の下茹でを併用します。粉を使うときはたっぷりまぶし、全体になじませてから洗うのがコツです。
テク3・下茹でと茹でこぼし
仕上げは下茹でです。たっぷりの湯で下茹でし、アクと脂が浮いた湯を捨てる「茹でこぼし」を行います。生もつは10分ほど、ボイル済みの白もつは5分ほど、厚みのあるシマチョウ(大腸)は10〜15分が目安。生姜やねぎの青い部分、酒を加えると香りがすっきりします。茹でこぼしは湯が濁らなくなるまでで、通常1回、濁りが強いときのみ2回目を行います。回数が多すぎると旨味まで流れ出るため、最大でも2〜3回にとどめます。
下茹での湯に加える薬味は、香りづけと臭み消しの両方に効きます。生姜の薄切り、長ねぎの青い部分、酒、にんにくなどが定番で、これらを湯に入れて一緒に茹でると、もつ特有の匂いがやわらぎます。下茹でしたもつは一度冷水にとってぬめりを洗い流すと、さらにすっきり。この一手間で、そのあとの煮込みや炒め物の仕上がりが大きく変わります。時間に余裕があれば、下茹で後にざるでしっかり水気を切っておくと、味が薄まらず調理しやすくなります。
白もつと生もつの下処理の違い
下処理の手間は、もつの状態や部位によって変わります。買ったもつに合わせて工程を調整しましょう。
状態による工程の違い
生もつは塩もみ→粉洗い→下茹でのフル工程が必要ですが、あらかじめ茹でてある白もつ(ボイル済み)は、軽い塩もみと湯通し程度で十分なことが多いです。ただし白もつでも余分な脂や汚れが残っていることがあるため、さっと洗って調整すると仕上がりが安定します。時間がないときは白もつを選ぶと、下処理の負担を大きく減らせます。
部位で変わる勘所
もつは部位によっても下処理の要点が異なります。小腸(マルチョウ)は脂が多いので脂の量を調整し、センマイは黒い皮の処理、大腸(シマチョウ)は厚みがあるので下茹でを長めにと、勘所を変えると仕上がりが良くなります。脂が多い部位は下茹でで軽く落とすと重たくならず、逆に脂を活かしたい料理では茹ですぎないのがコツです。部位ごとの特徴はもつの種類一覧で確認できます。
下処理後の十分な加熱と食中毒予防
下処理は「臭み取り」であると同時に「安全な加熱」まで含めて完成します。ここを省くと、せっかくの下処理も台無しです。
中心温度75℃1分以上が目安
もつは内臓のため、中心温度75℃で1分以上(65℃なら15分相当)の加熱が食中毒予防の目安です(厚生労働省)。とくに豚の食肉・内臓は2015年6月から生食用の販売・提供が禁止されており、中心が白っぽく変わるまでしっかり火を通す必要があります。表面が焼けていても中心が生のままだと危険なため、厚みのある部位は切って断面を確認すると安心です。
煮込み料理は加熱条件を満たしやすい
もつ煮やもつ鍋のように弱火でじっくり煮込む料理は、この加熱条件を自然に満たせるため、下処理との相性も抜群です。長時間煮込むことで臭みがさらに抜け、もつがやわらかくなるという利点もあります。焼いて食べる場合は加熱不足になりやすいので、下茹でで一度火を入れてから焼くと、安全と食感を両立できます。
もつの下処理後の保存
下処理したもつは、正しく保存すれば無駄なく使い切れます。保存期間と解凍のコツを押さえましょう。
冷蔵・冷凍の保存目安
下処理したもつは、冷蔵で約1週間、冷凍で約1か月が保存の目安です(下処理前の生もつは3〜4日)。下茹でまで済ませておくと日持ちしやすく、料理の際の時短にもなります。冷蔵する場合は水気をしっかり切り、密閉容器に入れて空気に触れさせないのがポイントです。
小分け冷凍と解凍のコツ
使う分ずつ小分けにして冷凍しておくと、もつ煮やもつ鍋のときにすぐ使えて便利です。解凍は冷蔵庫でゆっくり行うと、ドリップが出にくく美味しさを保てます。急ぐときは凍ったまま煮込み料理に入れても問題ありません。一度解凍したものの再冷凍は風味と衛生の面で避けましょう。
もつの下処理に関するよくある質問(FAQ)
もつの下処理は絶対に必要ですか?
生もつは必須です。ボイル済みの白もつも、余分な脂や汚れが残るため、軽い塩もみと湯通しをすると仕上がりが安定します。
茹でこぼしは何回すればいいですか?
湯が濁らなくなるまでで、通常1回、濁りが強いときのみ2回目を行います。旨味が流出するため最大2〜3回までにとどめます。
牛乳と小麦粉はどちらが効果的ですか?
目的が違います。小麦粉は汚れの吸着、牛乳は匂いの吸着・マスキングです。すっきり仕上げるなら、酒と生姜を加えた下茹でが有効です。
下処理後はどれくらい日持ちしますか?
冷蔵で約1週間、冷凍で約1か月が目安です。小分け冷凍がおすすめです。
臭みを完全に消すにはどうすればいい?
塩もみ→粉または牛乳→薬味を入れた下茹での組み合わせに、中心まで(75℃1分以上)の加熱を加えれば、臭みの大半は解消します。
まとめ|もつの下処理のコツ
もつの下処理は、臭みの原因(血・脂・雑菌)に対して、塩もみ・小麦粉・下茹での3テクで対応するのが基本です。生もつと白もつで工程を使い分け、最後に中心までしっかり加熱すれば、臭みのない美味しいもつ料理になります。
「もつ料理は臭くて苦手」という方も、原因を理解して的確に処理すれば、家庭でも臭みのない一皿を作れます。ポイントは、3つの原因それぞれに対応する処理を省かないこと。手間に感じるかもしれませんが、慣れれば20分ほどの作業です。下処理さえ押さえれば、もつ煮・もつ鍋・炒め物と料理の幅が一気に広がります。時間がないときは、下処理済みの白もつや、手作りのもつ煮込みお取り寄せを活用するのも一つの手です。
下処理したもつは、もつ煮の作り方やもつ鍋レシピで活躍します。もつの種類はもつの種類一覧もご覧ください。
下処理の手間なく、本格的なもつ煮込みを味わいたい方へ。

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