「焼肉やセンマイ刺しで見かけるセンマイって、牛のどこ?」「黒いセンマイと白いセンマイは何が違う?」「家で下処理できる?」── センマイを前に、こんな疑問を持つ方は少なくありません。
センマイは、牛の4つある胃のうち第三胃にあたる部位で、無数のヒダとコリコリした食感が特徴です。正体と下処理のコツを知れば、センマイ刺しも焼肉ももっと美味しく味わえます。
本記事では、農畜産業振興機構や文部科学省の食品成分データベースといった一次情報をもとに、センマイの部位・味・カロリーから、家庭でできる下処理、おすすめの食べ方まで、精肉のプロの視点で解説します。ホルモン全体はホルモンの部位一覧、種類の全体像はもつの種類一覧もご覧ください。

センマイの部位と特徴
牛の第三胃「重弁胃」
センマイは、牛の第三胃(和名は重弁胃、別名は葉胃)です。牛の胃はミノ(第一胃)・ハチノス(第二胃)・センマイ(第三胃)・ギアラ(第四胃)の4つに分かれ、センマイはその3番目。無数のヒダで水分やミネラルを吸収する役割を担い、容積は胃全体の約1割です。
名前の由来とヒダ状の見た目
センマイという名前は、葉のようなヒダが千枚も連なって見えることに由来します。見た目は黒灰色でザラザラとしたヒダ状。この独特の構造が、噛んだときのコリコリ感を生みます。
黒センマイと白センマイの違い
センマイには「黒」と「白」があり、別物と誤解されがちですが、実は同じ部位です。違いと選び方を整理しておきましょう。
薄皮の有無による違い
どちらも同じ第三胃で、表面の黒い薄皮を残しているか除いているかの違いです。黒センマイは黒灰色の薄皮が付いたまま、白センマイはその薄皮を取り除いて白くしたもの。白センマイは口当たりがやわらかく見た目も美しい一方、手間がかかるぶん価格はやや高めです。黒センマイは薄皮ならではのコリっとした食感と風味が残り、好んで選ぶ人もいます。
選ぶときの目安
「白いほうが新鮮」という意味ではなく、仕込みの違いだと知っておくと選びやすくなります。見た目の美しさや口当たりのやわらかさを重視するなら白センマイ、食感や風味、手頃さを求めるなら黒センマイが向きます。焼肉店では黒センマイのまま提供されることも多く、センマイ刺しでは白く仕上げたものが使われる傾向があります。
センマイの味と食感
センマイは、脂の少なさとコリコリ食感が持ち味の部位です。味わいと食感の理由を見ていきましょう。
クセの少ないあっさりした味わい
センマイの味は、クセが少なくあっさりと淡白で、ザラっとした舌ざわりが特徴です。脂がほとんどないため重くならず、タレや薬味の味を素直に受け止める、名脇役のような部位です。レバーやハツのような濃い風味も少ないため、内臓が得意でない方の「はじめの一皿」にも向きます。焼肉店ではセンマイ刺しとして提供されることが多く、コース序盤のさっぱりした箸休めとしても親しまれています。
コリコリ食感が生まれる理由
噛むほどに広がるコリコリ・シコシコとした歯ごたえは、無数のヒダが層状に重なった第三胃ならではのものです。ヒダの一枚一枚が薄いため、火を通しても硬くなりすぎず、独特の歯切れの良さが残ります。この食感を活かすには、焼き・湯引きとも加熱しすぎないことが大切。短時間でさっと火を通すと、センマイらしい歯切れのよさが最大限に楽しめます。
センマイのカロリーと栄養
センマイは低脂質でヘルシー、かつ鉄分が豊富な部位です。具体的な数値と、栄養面での価値を見ていきましょう。
センマイの栄養データ
文部科学省の食品成分表による、牛の第三胃(生)100gあたりの値は次のとおりです。
| 牛・第三胃(生・100g) | 数値 |
|---|---|
| エネルギー | 57kcal |
| たんぱく質 | 11.7g |
| 脂質 | 1.3g |
| 鉄 | 6.8mg |
| ビタミンB12 | 4.6μg |
鉄分6.8mgは牛の4つの胃の中で最も多く、脂質はわずか1.3g。カロリーを気にする方にもうれしい部位です。なお、一部サイトで「ゆでて57kcal」と紹介されますが、これは成分表の「生」の値で、第三胃に「ゆで」の公的な数値は収載されていません。
ダイエット・貧血対策での価値
センマイは、100gあたり57kcal・脂質1.3gと非常に低カロリー低脂質でありながら、鉄分とビタミンB12が豊富という、栄養面で優秀な部位です。鉄分は貧血予防に、ビタミンB12は赤血球の生成に関わります。脂が少ないぶん食べ応えでは霜降り肉に劣りますが、コリコリした食感でよく噛むため満足感が得やすいのも利点。ダイエット中でも罪悪感なく食べられる焼肉部位として、赤身肉やタンと並んで覚えておくと役立ちます。
センマイの下処理の手順
センマイは仕込みの丁寧さが味を大きく左右します。家庭でできる手順を3段階で紹介します。

塩もみ洗い
まず余分な脂を取り除き、塩をふって揉み、流水で水が透明になるまで洗います。ヒダの間に汚れが残りやすいので、しっかりと洗うのがポイントです。
湯引き
次に、再沸騰させた湯で1〜3分ほどさっと湯引きし、冷水で締めます。生姜や酒を加えると臭みが和らぎます。センマイ刺しは「生」ではなく、この湯引きをした状態で提供されます。
白センマイにする方法
黒い薄皮を取り除いて白センマイにするには、重曹を溶かした水に一晩ひたし、加熱してから皮をむくのが一般的です。手間はかかりますが、見た目が美しく仕上がり、口当たりもやわらかくなります。
センマイのおすすめの食べ方
センマイ刺し
定番は、湯引きしたセンマイを酢味噌やコチュジャン、ごま油と塩で味わうセンマイ刺しです。コリコリした食感とさっぱりした味付けの相性が抜群で、お酒の肴にも向きます。
焼肉での食べ方と選び方
焼肉では、薄切りにしてサッと炙り、醤油ダレで食べるのが王道です。火を通しすぎると硬くなるため、短時間で仕上げます。表面が少し反り返り、香ばしい焼き色がついたくらいが食べ頃です。塩やごま油、レモンでさっぱり食べるのもおすすめで、コリコリした食感が引き立ちます。
選ぶときは、仕込みが丁寧でヒダがきれいに開いているものが良品の目安です。センマイは鮮度が命の部位で、時間が経つと臭みが出やすくなります。冷蔵なら3日以内、冷凍でも1か月程度で使い切りましょう。スーパーでは手に入りにくいため、確実に良質なものを求めるなら精肉専門店や通販を利用するのが近道です。
センマイの選び方と保存
鮮度が味を大きく左右するセンマイは、選び方と保存のポイントを押さえると失敗しません。
良質なセンマイの見分け方
良質なセンマイは、ヒダがきれいに開いて仕込みが丁寧で、変な臭みやぬめりがないものです。黒センマイなら黒灰色にムラがなく、白センマイなら白くきれいに仕上がっているものを選びます。センマイは鮮度が落ちると臭みが強く出やすい部位なので、色つやと匂いをよく確認しましょう。スーパーではあまり見かけないため、良質なものを確実に求めるなら、精肉専門店や焼肉店向けの通販を利用するのが近道です。
センマイの鮮度と保存
センマイは鮮度が命の部位で、冷蔵なら3日以内、冷凍でも1か月程度で使い切るのが目安です。すぐ使わない場合は、下処理(塩もみ・湯引き)をしてから小分けにして冷凍すると、風味を保ちやすくなります。解凍は冷蔵庫でゆっくり行い、再冷凍は避けましょう。下処理済みで販売されているものも多く、その場合はさっと洗って調理できるため手軽です。
センマイをおいしく食べる組み合わせ
淡白でクセの少ないセンマイは、タレや薬味、合わせる食材しだいで印象が変わります。
相性のよいタレ・薬味
センマイ刺しの定番は酢味噌やコチュジャンだれ、ごま油と塩です。あっさりした味わいなので、酸味や辛味、ごまの香りがよく映えます。焼く場合は、醤油ダレのほか、塩・レモン、おろしにんにくやねぎ塩だれも好相性。薬味には、ねぎ・にんにく・唐辛子がよく合います。淡白なぶん、味付けの主張が強いものと組み合わせると満足感が高まります。
センマイ刺し以外のアレンジ
センマイ刺しが有名ですが、和え物、炒め物、スープや鍋の具としても楽しめます。きゅうりやわかめと酢の物にしたり、ニラや野菜と炒めたり、韓国風のスープに入れてもコリコリ食感が活きます。低カロリー・高鉄分という栄養も相まって、ヘルシーな一品として使い勝手のよい部位です。加熱調理でも火を通しすぎないのが、食感を保つ共通のコツです。
センマイの部位に関するよくある質問(FAQ)
センマイは牛のどこの部位ですか?
牛の第三胃(重弁胃)です。ミノ・ハチノス・センマイ・ギアラと4つある胃の3番目にあたります。
センマイ刺しは生肉ですか?
生ではありません。熱湯で湯引きし、冷水で締めた状態で提供されます。
黒センマイと白センマイの違いは何ですか?
どちらも同じ第三胃で、表面の黒い薄皮を残したものが黒センマイ、取り除いたものが白センマイです。
センマイのカロリーや鉄分はどれくらいですか?
生100gあたり57kcal、鉄分は6.8mgで牛の4つの胃の中で最多です。低脂質でヘルシーな部位です。
家庭でのセンマイの下処理は?
塩もみして流水で洗い、熱湯で数分湯引きします。白く仕上げたい場合は重曹水に一晩ひたしてから皮をむきます。
まとめ|センマイの部位と下処理
センマイは、牛の第三胃で、低脂質・高鉄分・コリコリ食感が魅力の部位です。黒と白は薄皮の有無による違いで同じ部位、センマイ刺しは湯引き済み、というポイントを押さえれば選び方も食べ方も迷いません。下処理を丁寧にすれば、家庭でもお店のような味わいが楽しめます。
牛の胃をはじめとするホルモン全体はホルモンの部位一覧、第一胃のミノについてはミノとは?第一胃の特徴もあわせてご覧ください。

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