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肉の焼き加減10種類|レア〜ウェルダンの違いを解説

「焼き加減は全部で何種類あるのか答えられない」「レアとミディアムレアの違いが曖昧なまま焼いている」「ウェルダンにすると硬くなるから避けているが、実際の温度が知りたい」——ステーキ店では焼き加減を指定できるのに、その呼び分けに業界統一の規格はありません。ステーキ店の調理現場で基本になるのは、ブルー・レア・ミディアムレア・ミディアム・ミディアムウェル・ウェルダンの6段階です。

本記事では、日本食肉消費総合センター(JMI)・農林水産省・食品安全委員会・米国農務省(USDA)の一次情報をもとに、10種類それぞれの中心温度と断面の見た目、部位別のおすすめ、豚肉・鶏肉の加熱基準までを整理しました。精肉の現場で使われている見分け方に沿って解説します。

焼き加減は「10種類の呼び分け」
  • 焼き加減は10種類として整理されることがある(ブルー・レア・ミディアムレア…など)
  • ただし業界統一の規格ではない(あくまで「呼び分けの整理」)
  • 判断の基本は「中心温度」と「断面の見た目」(JMI・農水省・食品安全委員会などの一次情報で整理)
目次

肉の焼き加減の種類と数え方

ステーキ店で「ミディアムレアで」と注文できるのに、「焼き加減が全部で何種類あるのか」と聞かれると答えに詰まってしまいます。「レアとミディアムレアの境界がわからない」「ウェルダンにすると硬くなるから避けているけれど、実際の温度が知りたい」——そんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、日本食肉消費総合センター(JMI)・農林水産省・食品安全委員会・米国農務省(USDA)などの一次情報に基づき、肉の焼き加減の全種類を温度と見た目で整理しました。結論からいうと、焼き加減は「10種類」として整理されることがありますが、これは業界統一の規格ではなく「呼び分けの整理」です。基本となる6段階に、生寄りの段階と焼きすぎ寄りの段階を加えた数え方です。

10種類の内訳

複数の料理メディアや精肉業者の資料で紹介される10種類の内訳は、以下のとおりです。

  • ロー(Raw)
  • ブルー(Blue)
  • ブルーレア(Blue rare)
  • レア(Rare)
  • ミディアムレア(Medium rare)
  • ミディアム(Medium)
  • ミディアムウェル(Medium well)
  • ウェル(Well)
  • ウェルダン(Well done)
  • ベリーウェルダン(Very well done)

実際、ステーキ店のメニューや調理現場で基本になるのは、ブルー/レア/ミディアムレア/ミディアム/ミディアムウェル/ウェルダンの6段階です。この基本6段階の前後に「ロー」と「ベリーウェルダン」を足し、あわせて「ブルーレア」や「ウェル」も加えると、10段階になる数え方もあります。

ブルーレアは「ベリー・レア」、ミディアムウェルは「ミディアムウェルダン」と呼ばれることもあります。呼び方が複数あること自体が、焼き加減の呼び分けに統一規格がない世界であることを表しています。

「数え方」に統一がない理由

焼き加減の数え方が資料によって6種類だったり10種類だったりする理由は、公的な規格が存在しないためです。農林水産省や食品安全委員会は食中毒予防の観点から加熱温度の基準を示していますが、「ミディアムレアは中心温度何度」といった焼き加減の定義そのものを法令で定めてはいません。

焼き加減の呼称は、ステーキ店の調理現場や食肉業界の慣習として受け継がれてきたものです。そのため、資料を発行する団体や媒体によって、段階の区切り方に差が生じます。したがって「10種類」という数字を暗記するよりも、各段階の温度帯と断面の状態を理解しておくことのほうが実用的です。

焼き加減10種類の一覧表

焼き加減の全体像をつかむには、一覧表が何よりわかりやすいです。ここでは10種類それぞれについて、中心温度の目安・断面の色・食感の特徴をまとめました。中心温度の数値は資料によって幅があるため、出典も併記しています。

肉の焼き加減10種類と中心温度の図解

段階別の温度・見た目・食感の早見表

焼き加減 中心温度の目安(米国業界) 中心温度の目安(日本の公的機関) 断面の状態 食感・味わい
ロー —(加熱なし) —(加熱なし) 生の状態 生肉そのもの
ブルー —(公的基準なし) —(公的基準なし) 表面のみ焼けた生の状態 表面に香ばしさ、内部はほぼ生
ブルーレア 約55℃ —(公的基準なし) 中心はほぼ生、周囲がうっすら加熱 とろけるような生の食感
レア 約60℃ 55〜65℃未満(農水省・厚さ2cmのヒレ前提) 鮮紅色で肉汁が多い やわらかくジューシー
ミディアムレア 約63℃ 約65℃(農水省) 外側は加熱、中心は赤〜ピンク 赤い肉汁が少しにじみ出る
ミディアム 約71℃ 65〜70℃(農水省) 中心部は淡いピンク色 肉汁のにじみ出しは少ない
ミディアムウェル —(米国業界の区分では約71〜77℃の間) —(日本の公的区分では明示なし) 中心部はうっすらピンク ややしっかりした食感
ウェル —(米国業界の区分では約77℃前後) —(日本の公的区分では明示なし) 中心部は茶色がかったピンク かみごたえが出る
ウェルダン 約77℃ 70〜80℃(農水省) 茶色で褐色 肉汁は少なく、しっかりした食感
ベリーウェルダン 約82℃ —(公的区分では明示なし) 全体が褐色で焦げ目が強い 硬く、肉汁はほぼない

※出典により温度帯に幅があります。上表の「米国業界」はBeefResearchおよびステーキ断面の色ガイド、「日本の公的機関」は農林水産省・食品安全委員会・JMIの資料に基づきます。

温度の「資料による差」の読み方

同じ「レア」でも、日本の公的機関の目安では55〜65℃未満、米国業界の目安では約60℃と、数値に差があります。これは測定条件や想定する肉の厚み・部位が異なるためです。農林水産省の数値は厚さ2cmのヒレ肉を前提とした食味の目安で、米国業界の数値はステーキ用の塊肉を想定したものです。

JMIの別資料では「レア約50℃・ミディアム約60℃・ウェルダン約70℃」という食味目安も示されています。このように、同じ焼き加減の呼称でも資料によって温度が異なることを理解しておく必要があります。数値を比べるときは、どこの資料の数字なのかまでセットで見るようにしてください。

ブルーやブルーレアといったレア以下の低温帯については、日本の公的な基準が存在しません。レシピサイトや料理教室の参考値だけが存在する状況なので、「資料により幅がある」と理解しておくのが正解です。

各段階の焼き加減の見分け方

焼き加減を正確に把握するには中心温度を温度計で測定するのが最も確実ですが、調理現場では断面の色や触感でも見分けられています。ここでは、温度計が手元にない状況での見分け方をみていきます。

断面の色と肉汁の状態

JMIの説明をもとに、各段階の断面の状態を整理すると、次のようになります。

  • ブルー:表面は焼いてありますが、中は生の状態。中心部は紫赤色をしています。
  • レア:表面は焼けていますが中はほぼ生。鮮紅色で、肉汁が多いです。
  • ミディアムレア:外側は熱が通っていますが中心はまだ生。切ると赤い肉汁が少しにじみ出ます。
  • ミディアム:中心部は淡いピンク色。切っても肉汁はにじみ出ません。
  • ウェルダン:茶色で褐色。肉汁は少ないです。

このうち、ミディアムレアとミディアムの境界は「赤い肉汁のにじみ出しがあるかどうか」で見分けるとわかりやすいです。ミディアムレアでは切った断面から赤い肉汁がにじみ出ますが、ミディアムになると肉汁のにじみ出しはほとんど見られません。

触感での見分け方

温度計がないときの補助手段として、手のひらの付け根の弾力と比較する方法があります。焼き加減を扱う現場では、広く使われている触感判定のテクニックです。

手の形 比較する部位 想定される焼き加減
親指と人差し指を軽くくっつける 親指の付け根 レア
親指と中指を軽くくっつける 親指の付け根 ミディアムレア
親指と薬指を軽くくっつける 親指の付け根 ミディアム
親指と小指を軽くくっつける 親指の付け根 ウェルダン

焼き上がった肉の中心部分を指で押し、その弾力を手のひらの付け根の弾力と比べてみます。ただ、あくまで経験則による補助手段であり、正確な焼き加減の判定には中心温度の測定が不可欠です。温度計の正しい使い方やレスト(休ませ)の詳細は、別記事「ステーキ 焼き方」でくわしく解説しています。

焼き加減の見た目判定と断面の色の科学

焼き加減の見分け方として断面の色を挙げましたが、実は色だけで焼き加減や安全性を正しく判断することには限界があります。ここでは、断面の色の科学的な背景をみていきます。

赤い色の正体

ステーキを切ったときににじみ出る赤い液体は、血液ではありません。肉の赤い色の正体は「ミオグロビン」というたんぱく質です。ミオグロビンは筋肉の中にある色素たんぱく質で、酸素を運ぶ役割をしています。

ミオグロビンの色は、まわりの環境によって変化します。酸素に触れていない状態では紫赤色、空気に触れると鮮やかな赤色、酸化が進むと褐色や暗赤色へ。さらに加熱すると熱変性を起こし、褐色から灰褐色へと変わっていきます。

つまり、肉の断面が赤いのは「血が残っている」のではなく「ミオグロビンがまだ熱変性していない」ことを示しています。血の色ではない、というのが正しい理解です。

色や肉汁による安全判断の限界

加熱したのに、断面がピンク色のまま残る肉もあります。燻製のスモークリングや発色処理を施した肉、pHの影響などが理由で、十分に加熱されていてもピンク色を保つ場合があるのです。逆に、加熱不足でも肉の種類や部位によっては褐色に見えることもあります。

米国農務省(USDA)は、肉の色・肉汁の色・硬さ・焼き目は安全性の信頼できる指標ではないと明言しています。食品安全を確認するには、肉の最も厚い部分に温度計を挿入して中心温度を測定するしかありません。

「断面がピンク色=生焼け」「褐色=安全」と単純に決めつけられない——ここが重要な注意点です。食味としての焼き加減と、食中毒予防の観点からの加熱基準は、別の物差しで考える必要があります。

部位別のおすすめ焼き加減

牛肉は部位によって、おいしく食べられる焼き加減が変わります。脂の量や肉質の特徴に合わせて、いちばんおいしい焼き加減を選ぶのがコツです。

牛肉の部位別おすすめ表

部位 おすすめの焼き加減 理由
ヒレ レア〜ミディアムレア 火を入れすぎるとパサつくため
サーロイン ミディアムレア〜ミディアム 脂のコクを楽しむため
リブロース ミディアムレア〜ミディアム 霜降りを楽しむため
ランプ レア〜ミディアムレア 赤身の旨味を活かす・焼きすぎ注意
ハラミ ミディアムレア〜ミディアム 焼きすぎると硬くなる・繊維を断って切る

ヒレは脂が少なく赤身中心の部位なので、火を入れすぎると肉汁が抜けてパサつきやすいです。だからこそ、レア〜ミディアムレアで提供するのが定番です。一方、サーロインやリブロースは脂が豊富な部位なので、ミディアムレア〜ミディアムまで加熱することで、脂の甘みと肉の旨味のバランスが取れます。

部位ごとの詳しい特徴や選び方は、牛肉の部位解説の記事もあわせてごらんください。

薄切り肉と厚切り肉の違い

同じ牛肉でも、薄切り肉と厚切り肉では焼き加減の考え方が異なります。薄切り肉は火の通りが速く、表面積に対して厚みが小さいため、中心温度を測るひまもなく加熱が進みます。焼肉店で提供される薄切り肉は、加熱しすぎずに表面に焼き目をつける程度が一般的です。

一方、厚切り肉(ステーキ用の塊肉)は中心まで熱が伝わるのに時間がかかるぶん、焼き加減をコントロールしやすいです。厚さ2cm以上の塊肉であれば、中心温度を測定しながら好みの焼き加減に仕上げられます。

焼き加減を指定して楽しめるのは、基本的に厚みのある塊肉(ステーキ)です。薄切り肉は焼き加減の幅が狭く、気づくと「よく焼き」になりがち、という点は覚えておきたいです。

肉の種類で変わる「焼き加減の指定範囲」

焼き加減をどこまで指定できるかは、肉の種類によって大きく異なります。牛肉だからといってすべての焼き加減が安全に食べられるわけではなく、豚肉や鶏肉では指定できる範囲がぐっと限られます。

焼き加減の異なるステーキの断面

牛・豚・鶏・ひき肉の比較表

肉の種類 指定できる焼き加減 安全のための基準
牛肉(塊・ステーキ) 全段階を指定できる(条件付き) 表面をしっかり焼くこと。中心部75℃1分が全肉共通の目安
豚肉(塊) レア系は指定不可 USDA:中心62.8℃(145°F)到達+3分休ませ/日本:中心63℃で30分以上または75℃1分以上
鶏肉 焼き加減の選択肢なし 中心まで加熱(USDA:約74℃/日本:中心部75℃以上1分以上)
ひき肉・ハンバーグ・成形肉・結着肉・テンダライズ処理肉・タンブリング処理肉・筋切り肉・漬け込み肉 レア系NG・中心まで加熱 USDA:ひき肉71.1℃(160°F)/日本:75℃1分

レアからウェルダンまで全段階を指定できるのは、牛肉の塊肉(ステーキ用)だけです。ただし、これは「生きている健康な牛の筋肉の中は無菌」という食品安全委員会の見解に基づく、条件付きの話です。表面に菌が付着している可能性はゼロではないため、表面はしっかり焼いてください。

豚肉の基準と「ピンクが残っても安全」の話

豚肉は、レア系の焼き加減を指定できません。筋肉内部もE型肝炎ウイルスなどで汚染されている可能性があるため、生食や加熱不足は厳禁です。

日本の食品安全委員会の基準では、中心部を63℃で30分以上、または75℃で1分以上加熱することが推奨されています。米国農務省(USDA)の基準では、中心温度62.8℃(145°F)に到達した後、3分間休ませることで安全とされています。

ここで注意したいのは、「豚肉63℃3分」という表現は日本の公的な基準ではないという点です。USDAの基準は「62.8℃到達+3分間の休ませ」であり、日本の基準は「63℃で30分以上」または「75℃で1分以上」です。SNSや料理サイトで拡散されている「63℃3分」という数字は、日本の公的基準と混同されやすいので注意してください。

USDAの基準(62.8℃+3分休ませ)で加熱した豚肉は、中心部がややピンク色を帯びることがあります。これは「加熱不足」ではなく、基準を満たした加熱の結果としてピンク色が残る場合があるという意味です。ただし、これは温度計で正確に測定した場合の話で、目視で「ピンク色だから大丈夫」と判断できるわけではありません。

生の豚肉や内臓は、食品衛生法に基づき、平成27年6月12日から生食用として販売してはならないとされています。豚肉の生食は法律で禁止されている、という点も覚えておきましょう。

鶏肉とひき肉・加工肉の注意点

鶏肉は、焼き加減の選択肢がありません。カンピロバクターによる食中毒が多発しているため、中心部まで完全に加熱する必要があります。日本の基準では中心部75℃以上で1分以上、USDAの基準では約74℃(165°F)までの加熱が推奨されています。あわせて覚えておきたいのが、鶏肉は調理前に水で洗わないこと。洗うことで菌が飛び散り、調理台やまわりの器具を汚染してしまうためです。

ひき肉やハンバーグ、成形肉、結着肉、テンダライズ(針刺し)処理肉、タンブリング処理肉、筋切り肉、漬け込み肉も、レア系の指定はできません。加工の過程で表面の菌が内部に混入している可能性が高いため、中心まで加熱することが必須です。USDAの基準ではひき肉は71.1℃(160°F)、日本の基準では75℃で1分以上の加熱が必要です。

特にハンバーグは、外側が焼けていても中心部が生のまま、ということがあります。「切って肉汁の色を確認する」のではなく、必ず温度計で中心温度を確認する習慣をつけましょう。

牛肉の塊肉(ステーキ用)
  • 健康な牛の筋肉内部は無菌(食品安全委員会)
  • 表面をしっかり焼けば、内部はレアでも食べられる
  • ただし表面には菌が付着している可能性があるので、表面は十分に加熱
挽肉・加工肉・豚・鶏
  • 挽肉・加工肉は、加工の過程で表面の菌が内部に混入する可能性がある
  • 中心まで加熱しなければならない(牛の挽肉も同様)
  • 豚肉(E型肝炎)・鶏肉(カンピロバクター)は生焼け厳禁

焼き加減と食中毒リスク

焼き加減を選ぶときは、おいしさだけでなく食中毒リスクの理解も欠かせません。肉の種類によってリスクの性質が異なるため、それぞれの特徴を整理しておきます。

牛肉(O157)・豚肉(E型肝炎)・鶏肉(カンピロバクター)の特徴

牛肉の塊肉(ステーキ用)については、「生きている健康な牛の筋肉の中は無菌」と食品安全委員会が述べています。つまり内部に菌がいないため、表面をしっかり焼けばレアで食べることが可能です。ただし、これは健康な牛の筋肉内部の話で、表面には菌が付着している可能性があります。牛の挽肉や加工肉は、屠畜や挽肉加工の過程で表面の菌が内部に混入する可能性があるため、中心まで加熱しなければなりません。腸管出血性大腸菌O157のリスクがあるためです。

豚肉は、筋肉内部もE型肝炎ウイルスなどで汚染されている可能性があります。そのため、牛肉のように「表面を焼けばレアで食べられる」とはなりません。生食禁止・中心まで加熱が原則です。

鶏肉は、カンピロバクターによる食中毒が多発しています。鶏レバーやささみ刺し、鶏たたきなどが原因となるケースが報告されており、中心まで完全に加熱することが必須です。

ハイリスク層と自己判断の整理

食品安全委員会の見解に基づけば、牛肉の塊肉は表面をしっかり焼くことでレアでの提供が可能です。ただ、子ども・妊婦・高齢者・免疫低下者といったハイリスク層は、レアやミディアムレアの牛肉を避けるのが安全です。

全肉共通の加熱目安として、中心部75℃で1分間以上の加熱が推奨されています。同等の殺菌効果が得られる組み合わせとして、70℃3分・69℃4分・68℃5分・67℃8分・66℃11分・65℃15分という目安もあります。食品安全委員会の低温調理の目安では、中心63℃到達後30分維持(75℃なら1分)とされています。

なお、塊肉の表面を焼いてアルミホイルで包み、余熱だけで火を通す方法は、内部温度が不十分なことがあるため推奨しませんと食品安全委員会は注意を促しています。焼き加減を正確にコントロールするには、温度計の使用が不可欠です。

焼き加減と安全で気をつけたい3つのこと
  • 牛肉の塊肉=レア可・挽肉=中心まで加熱(内部に菌がいるかどうかで安全の考え方が変わる)
  • 豚肉・鶏肉の生焼けは厳禁(レア指定は牛肉の塊肉に限る。豚・鶏は中心まで)
  • 温度の目安は資料で幅がある(1つの数値を絶対視せず、中心温度計で実測して判断する)

ステーキ店での焼き加減の注文の伝え方

ステーキ店で焼き加減を注文するとき、日本語の呼称に加えて英語やフランス語の呼称を知っておくと便利です。高級ステーキ店では、フランス語の呼称が使われることもあります。

英語・フランス語の呼び方

焼き加減 英語 フランス語
ブルー Blue rare bleu(ブルー)
レア Rare saignant(セニャント)
ミディアムレア Medium rare saignant(セニャント)
ミディアム Medium à point(ア・ポワン)
ミディアムウェル Medium well —
ウェルダン Well done bien cuit(ビヤン・キュイ)

フランス語の「saignant(セニャント)」は、直訳すると「血が滴る」という意味で、日本のミディアムレアに相当します。「à point(ア・ポワン)」は「ちょうどよい」という意味で、ミディアムに相当します。

なお、農林水産省によると、「レア」という言葉は半熟卵を意味する英語の古語に由来するといいます。「加熱が不十分」という否定的な意味ではなく、伝統的に「半生状態」を指す言葉として使われてきたのです。

「名称+温度」で伝える提案

焼き加減の呼称は資料によって温度帯に幅があるため、こだわりのある焼き加減を伝えたいときは、「ミディアムレアで、中心温度は63℃くらいでお願いします」のように、呼称と温度を併せて伝えると誤解が生じにくいです。高級ステーキ店ほど、温度指定を受け付けてくれることが多いです。

自宅で調理するときも同じです。焼き加減の呼称に頼るのではなく、温度計で中心温度を確認しながら火を入れることをおすすめします。温度計の使い方やレスト(休ませ)の方法は、別記事「ステーキ 焼き方」でくわしく解説しています。

よくある質問(FAQ)

焼き加減に関する疑問をQ&A形式で整理しました。いずれも一次情報に基づく回答です。

Q1. 焼き加減は何種類ありますか?
A. 基本はブルー・レア・ミディアムレア・ミディアム・ミディアムウェル・ウェルダンの6段階です。前後にローやベリーウェルダンなどを加えると10種類として整理されることもありますが、業界統一の規格ではなく「呼び分けの整理」です。

Q2. レアの中心温度は何度ですか?
A. 米国業界の目安では約60℃、日本の農林水産省の食味目安では55〜65℃未満とされています。資料によって数値に幅があるため、出典を確認するのがおすすめです。

Q3. 部位別のおすすめ焼き加減は?
A. ヒレはレア〜ミディアムレア、サーロインとリブロースはミディアムレア〜ミディアム、ランプはレア〜ミディアムレア、ハラミはミディアムレア〜ミディアムがおすすめです。脂の量や肉質によって、適した焼き加減が変わります。

Q4. 豚肉はレアで食べられますか?
A. 食べられません。豚肉は筋肉内部もE型肝炎ウイルスなどで汚染されている可能性があり、生食や加熱不足は禁止されています。USDA基準では中心62.8℃到達+3分休ませ、日本の基準では63℃30分以上または75℃1分以上の加熱が必要です。

Q5. ステーキの赤い汁は血ですか?
A. 血ではありません。赤い色の正体はミオグロビンというたんぱく質です。酸素に触れると鮮赤色になるため、切った断面が赤く見えるのは正常な反応です。

Q6. 温度計がない場合の見分け方は?
A. 手のひらの付け根の弾力と比較する方法があります。親指と人差し指をくっつけるとレア、中指でミディアムレア、薬指でミディアム、小指でウェルダンの弾力に近づきます。ただし、あくまで補助手段であり、正確な判定には温度計が不可欠です。

まとめ

肉の焼き加減は、食味の観点と安全性の観点を分けて考える必要があります。最後に、この記事の要点を整理します。

焼き加減は基本6段階、広く数えると10種類に整理されます。ただし、これは業界統一の規格ではなく、資料によって数え方に幅がある、という点は頭の隅に置いておきたいです。

中心温度の目安は、米国業界と日本の公的機関で数値が異なります。レアは約60℃(米国業界)/55〜65℃未満(農水省)、ミディアムレアは約63℃(米国業界)/約65℃(農水省)、ウェルダンは約77℃(米国業界)/70〜80℃(農水省)です。どの資料の目安かを確認せずに単一の数値を絶対視することは避けるべきです。数値はあくまで目安として、出典とセットで覚えましょう。

肉の種類別にみると、牛肉の塊肉だけがレアからウェルダンまで全段階を指定できます。豚肉はレア系の指定ができず、鶏肉は焼き加減の選択肢がありません。ひき肉や加工肉も中心まで加熱が必要です。

焼き加減の見た目による判定は、断面の色や肉汁の状態である程度可能です。しかし、色や肉汁の色・硬さ・焼き目は安全性の信頼できる指標ではないというのがUSDAの公式見解です。食品安全を確認するには、肉の最も厚い部分に温度計を挿入して中心温度を測定することが唯一の確実な方法です。

焼き加減の呼称はあくまで食味の目安であり、食中毒予防の加熱基準とは別の軸で理解する必要があります。おいしさだけでなく安全性も大切に、肉の種類に応じた適切な焼き加減を選んでいきましょう。

関連記事の案内

焼き加減の温度を正確に再現するための調理手順(温度計の使い方・レスト)については、ステーキ 焼き方の記事で詳しく解説しています。また、「レア」「ミディアム」「ウェルダン」といった用語のより詳しい解説は、レア ミディアム ウェルダンの記事を参照してください。

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