「鶏肉が生ぐさい」「加熱すると独特の臭いが気になる」「下処理でどうにかしたい」── 鶏肉の臭みに、こんな悩みを感じたことはないでしょうか。
鶏肉の臭みは、ドリップ(赤い汁)・血・脂の酸化・鮮度の低下などが主な原因。そして塩・酒・牛乳・酢・ヨーグルトは、それぞれ違う原理で臭みを抑えます。原因と仕組みを知れば、身近な材料で確実に臭みを減らせます。
本記事では、調理科学やメーカーの情報をもとに、鶏肉の臭みを取る5つのテクニックを「なぜ効くのか」まで含めて精肉のプロの視点で解説します。鶏肉の部位ごとの特徴は鶏肉の部位一覧もご覧ください。

鶏肉の臭みの原因
鶏肉の臭みは、主にドリップや血の酸化、脂肪の酸化、鮮度の低下、飼料由来のにおいから生まれます。とくにドリップは旨味とともに流出した水分で、放置すると酸化と雑菌繁殖で不快臭の元に。鶏肉は牛や豚より水分が多くドリップが出やすいため、臭みが気になりやすいのです。原因を知れば、次に紹介する下処理が選びやすくなります。
臭みを取る前の下処理の基本
5つのテクニックの前に、共通の下ごしらえをしておきましょう。ドリップをキッチンペーパーで拭き取り、皮の黄色い余分な脂肪や血の塊を取り除くだけで、臭みは大きく減ります。ここで重要なのが「水で洗わない」こと。詳しくは後述しますが、鶏肉を水洗いすると食中毒菌が飛び散るため、拭き取りで対応します。
臭み取りテクニック①塩
最も手軽なのが塩です。塩をまぶして約10分置くと、浸透圧で余分な水分=臭み成分が外に引き出されます。さらに、適量の塩は肉のたんぱく質に働いて保水力を高めるため、下味とパサつき防止も兼ねられます。しっとり仕上げたいときは、5%程度の塩水(ブライン)に浸ける方法も効果的。塩分が濃すぎると水分が抜けてパサつくので、濃度は控えめにします。
臭み取りテクニック②酒
料理酒も定番です。加熱でアルコールが揮発する際、臭い成分を巻き込んで一緒に飛ばす「共沸効果」で臭みが抜けます。清酒に含まれる有機酸が臭み成分を中和し、醸造由来の香りがマスキング、アミノ酸がコクと柔らかさも与えます。下味の段階で酒をふる、または30分ほど漬けてから加熱すると効果的です。
臭み取りテクニック③牛乳
強い臭みには牛乳が役立ちます。牛乳のたんぱく質「カゼイン」が、網目状の構造で臭い成分を吸着するためです。15〜30分ほど漬けて臭みを移し取ります。ここで大切なのは、漬けた牛乳には臭いが移っているので必ず捨て、調理前に肉の水分を拭き取ること。レバーなど臭みの強い部位に特に有効です。
臭み取りテクニック④酢
さっぱり仕上げたいときは酢です。酸性の酢酸が、アルカリ性の臭み成分(トリメチルアミンなど)を中和して、においにくい状態に変えます。酢や酢水にさっとくぐらせる「酢洗い」や、調理に少量加えるだけでも効果があります。身が締まってさっぱりするうえ、表面の微生物を抑える働きも期待できます。
臭み取りテクニック⑤ヨーグルト
臭み取りと柔らかさを両立するのがヨーグルトです。乳酸が臭み成分を中和し、たんぱく質と脂肪球が臭いを吸着。さらに酸の働きで筋繊維の隙間が広がって保水性が高まり、乳酸菌や肉の酵素がたんぱく質を分解して、しっとり柔らかく仕上がります。パサつきやすいむね肉と特に好相性です。
加熱で臭みを出さないコツと洗ってはいけない理由
下処理に加え、加熱の工夫でも臭みは抑えられます。生姜・ねぎ・にんにくなどの香味野菜やスパイス、下茹で(霜降り)を活用し、中心温度75℃で1分以上しっかり加熱しましょう。なお、鶏肉を水で洗うのは厳禁です。農林水産省は、洗った水がはねてカンピロバクターなどの食中毒菌が飛び散り、二次汚染を招くと注意喚起しています。臭みが気になっても洗わず、拭き取りと下処理で対応してください。保存の基本は鶏肉の保存方法で解説しています。
鶏肉の臭み取りに関するよくある質問(FAQ)
鶏肉は洗ってから調理した方がいいですか?
洗わないでください。農林水産省は、生の鶏肉を水で洗うと水はねで食中毒菌が周囲に飛び散り汚染が広がると注意喚起しています。汚れやドリップはキッチンペーパーで拭き取るのが正解です。
一番手軽で効果的な臭み取りは?
塩です。塩をまぶして約10分置くと、浸透圧で臭み成分が抜け、下味と保水も兼ねられます。時間があれば5%程度の塩水に浸けるとよりしっとり仕上がります。
牛乳に漬けたあと、その牛乳ごと使っていいですか?
いけません。カゼインが臭い成分を吸着した漬け牛乳には臭みが移っているため、必ず捨て、鶏肉の水分を拭いてから調理します。
むね肉のパサつきと臭みを同時に何とかするには?
ヨーグルトまたは塩水(ブライン)漬けがおすすめです。酸や塩で保水性が上がってしっとり仕上がり、吸着や中和の作用で臭みも軽減されます。
少し臭うけれど下処理すれば食べられますか?
軽いドリップ由来の臭みなら拭き取りと下処理で軽減できます。ただし酸っぱい臭い・アンモニア臭、ぬめり、灰色・緑への変色があれば腐敗です。毒素は加熱しても消えないため廃棄してください。
まとめ|鶏肉の臭みを取る5つのコツ
鶏肉の臭みは、ドリップの拭き取りを土台に、塩・酒・牛乳・酢・ヨーグルトを原因に合わせて使い分けることで、身近な材料だけでも大きく改善できます。水洗いは避け、香味野菜と十分な加熱を組み合わせれば、鶏肉料理はもっと美味しく仕上がります。
部位ごとの特徴は鶏肉の部位一覧、臭みを抑える調理は鶏肉レシピ人気ランキングもご覧ください。

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